古希

父親が語る娘との想い出

家族と思い出を共有すること
~NHK 沁みる夜汽車より~

先日、たまたまのスキマ時間に暖かいお茶を飲みながらホッと一息ついて
何気なくテレビをつけるとNHK 「沁(し)みる夜汽車」が放送されていました。

まったく興味なく見始めた番組でしたが、すぐにストーリーに引き込まれていくのを感じました。

ドラマのタイトルは、「駅までの5分間」

内容は、長野県長野電鉄屋代線若穂駅から通勤をしていた玉川和男さん。和男さんには、3人の娘がいた。その娘たちが高校へ電車通学するようになると、朝、一緒に駅まで歩くことになった。
時間はわずか5分だったが、和男さんにとっては娘と話せる貴重な時間となった。
長女が卒業すると、次女と。次女が卒業すると三女と一緒に駅まで歩いた。
ドラマの中で、和男さんがポツリポツリ 3人の娘との思い出を話す。
特別なことは何一つないけれど、それぞれの娘さんと歩いた時の特徴を覚えていた。
長女は、おっとりしていて、次女は、よくしゃべり、三女は、甘え上手で・・と。

このドラマの最後に、和男さんの思い出を聞いた娘たちは、お父さんの思い出を見て、こんな風に感じていてくれたのかと驚きます。

私は、見終わってとても素敵なエピソードだと思いました。
おそらく、お父さんにとって思春期の娘と普段ゆっくり話すことなど無いなか、この5分間は貴重な時間だったのでしょう。

実は、私も同じような経験があります。
社会人になりたての頃、毎日のように父が自宅から駅まで約5分の道のりを自転車の二人乗りで送ってくれたことです。その頃の私は、自営業を営んでいた父が店の掃除の休憩に送ってくれているものだと思っていました。
ほとんど、どのような話をしたのか、覚えていません。きっと、仕事をし始めた私の話を聞いてくれていたか、たわいもない世間話をしていたのだと思います。

一つだけ覚えているのが、なにかショックなことがあり落ち込んでいる私に「人生そんなこともある」と励ましてくれたことです。家族の前では、落ち込んでいる事など伝えないので、やはり2人だけだったからできた会話だったなと、いい思い出になっています。

今回の沁みる夜汽車の和男さんのように、その時の気持ちどうだったのか、亡くなってしまった父に聞くことができません。
できることなら聞いてみたかったな。と思います。
ですが、聞いてみたら意外とセンチメンタルな思い出ではなく、「あまりにも毎日慌てて走っていくから、しょうがなく」とか拍子抜けするような返事だったかもしれません。
それは、それで家族のよい思い出となり、話に花が咲くことでしょう。

引用:【NHK 沁みる夜汽車】

“寝入りばなのひととき、鉄道にまつわる、ちょっと心が温まる物語をドキュメントとイメージ映像で紹介していく「沁(し)みる夜汽車」
ナレーションは、人気番組「チコちゃんに叱られる!」でおなじみの森田美由紀アナウンサー。しっとりと物語をお伝えしていきます。”